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サスティナブルファイナンスがもたらす、ESG人材の争奪競争
「持続可能な社会の実現」のための金融、サスティナブルファイナンスが急速に拡大しています。新たな感染症の出現でさらに拡大した経済格差や貧困、飢餓問題などの社会問題に加え、気候変動や生物多様性の危機、海洋プラスチック問題など現在私たちはさまざまな危機に直面しています。SDGs(持続可能な開発目標)の普及により、世界規模の課題が可視化されましたが、とりわけ地球環境の容量の限界ともいえる環境問題は喫緊の命題です。
2050年までにカーボンニュートラルの実現を、という目標は世界共通の認識となりました。「気候変動に具体的な対策を」と掲げられた開発目標を実現するには言うまでもなく、巨額の資金が必要です。国連が提唱する2030年までの目標を達成するには現在の投資の流れを倍にし、毎年5兆~7兆USドルの資金が必要と言われています。これまで鉄鋼、化学、海運など重厚長大の製造業に依存してきた日本においても非化石燃料への転換は大きな産業構造の転換を伴うものであり、低炭素社会への移行に必要な取り組みを支援するトランジションファイナンスの重要性が意識されています。
このような資金調達としてのサスティナブル融資を筆頭に、グリーンポンドやソーシャルポンドなどGSS債と呼ばれるESG債権の発行額や発行件数の拡大、その他さまざまな金融サービスが多様化し、急速に発展した背景には人類共通の資産である環境の持続維持に向け、企業と民間の投資家が目標達成の担い手となって世界的課題を解決していく必要があると認識されたことが挙げられるでしょう。つまり、経済界が主役と位置付けられた証しといえます。多くの投資家にとってESG投資は最早、その希少性から中長期的な収益追求とESGリスクを回避する投資成果を兼ね備えたインパクト投資の対象となっています。高崎経済大学学長の水口剛氏の言葉を借りるなら、「金融市場が世界を守れるかどうかということを試されている」と捉えることもできるでしょう。
こうした流れに伴い、いま金融機関に求められている役割は「ESG」の名を冠したファンドに関して、投資先の基準にしっかりと気候変動の視点が反映されているか、またそのファンドへの投資が社会的な問題の解決へ資するものであるか正確に解釈、判断し、その根拠も含めた情報開示と投資家へ向けた説明責任です。その為に、採用市場では投資家の判断が正しくなされるように正しい情報を提供していく、ファイナンスリテラシーを有したプレーヤーがより求められる傾向にあります。弊社にも、アナリスト、リサーチ、ストラクチャードファイナンス、プロジェクトファイナンス、経営コンサル、戦略コンサル、リスクコンサル、経営企画や事業企画まで、多岐に渡る求人が寄せられています。
ほとんどの企業では即戦力となる人材確保が急務であり、慢性的な人材不足を抱えています。ESG関連業務は成長分野で経験者が少なく、希少価値も高い。そうした人材を確保するため、雇用主が採用に惜しみなく投資するケースも少なくありません。採用競合は日本のみならず、サスティナブルファイナンスの強化推進が計画されているシンガポール、香港、マレーシア、インド、インドネシア、中国などのアジア主要都市にも広がっています。しばらくは高額報酬で人材の囲い込みが加速することでしょう。
ご興味を持たれた方は是非当社にご相談ください。産業構造全体をサスティナブルなものに転換させるべき大変革期に、優秀な人材を紹介することで社会貢献の一助になれたなら、人材紹介コンサルタントとしてこんなにうれしいことはありません。
専任コンサルタント 遠藤大輔