KANAE ASSOCIATES

TEL 03-3431-7700

最新情報News

大手生命保険会社における中途採用強化の潮流

 2023年10月、日本生命保険相互会社が特定の高い専門性を持つ人材に、最大5000万円程度の年収提示を行うという記事が日経新聞に掲載されたことは、未だ記憶に新しいかもしれません。高額年収のみならず、長らく「生え抜き主義」を踏襲してきた大手生命保険会社がキャリア採用に乗り出したインパクトの強さが印象に残っている方も少なくないでしょう。従来、同社は社外を除く取締役や執行役員の98%が新卒入社の人材で、それまで中途採用は不定期かつ小規模しか行っておらず、社外人材の活用が進んでいませんでした。

 そうした中、大手生保会社において、2023年から2024年より経験者を積極的に採用する動きが目立ち始めました。
 金融業界全体で見ると、先んじてメガバンクは採用強化に着手しており、高度な専門性を有する人材の争奪戦は既に始まっていました。この流れが徐々に大手生保業界にも普及し始めた結果と見る向きもあるでしょう。同時に、人的資本経営の取り組みを重視する社会の風潮や、新卒社員を育て上げるメンバーシップ雇用の慣習から脱却を図ろうとする動きも進んでいます。ある大手生命保険会社では本年、対2022年比で約7倍の中途採用を計画している企業もございます。

 大手生保4社の中期経営計画の重点施策として海外ビジネスの強化を掲げていることから、特に海外専門分野における高度人材の採用ニーズは、今後ますます高まると考えられます。中でも熾烈な人材争奪戦が予測されるポジションは海外M&A・海外子会社管理・プロジェクトファイナンスと言えます。
その理由としては、以下の3点が考えられます。
(1)少子高齢化・人口減少により国内のマーケットが縮小傾向の中、中米は人口増加及び経済成長が有望視されていることから、第一生命保険株式会社(2015年)、明治安田生命保険相互会社(2016年)、住友生命保険相互会社(2016年)が、各社4000~6000億円規模の米保険会社を既に買収していること。
(2)上記3社が海外事業好調であること。
本業の儲けを示す基礎利益が、買収直後の対比で20〜300%に上振れていることから、中期経営計画において、海外事業の拡大や基礎利益の上方修正を挙げており、早期に業績を生み出せる伸びしろが多く、各社が強化を急いでいるのが現状です。
(3)グループ全体の利益に占める海外比率が低い会社は、これまで以上に海外進出を強化する余地があるため。各社の利益に占める海外比率の内訳は、第一生命保険株式会社(30%)、明治安田生命保険相互会社(15%)、住友生命保険相互会社(10%)、日本生命保険相互会社(4%)となっています。

 こうした背景から現在、金融機関、コンサル、商社、PEファームなどで企業財務分析、企業価値評価、英文契約書交渉、株式投資、事業投資、PMI経験をお持ちの方、あるいは証券アナリスト、US-CPA(米国公認会計士)、CFA(米国証券アナリスト)の保有資格者をはじめ、プロジェクトファイナンス投資案件においては業務10年以上の経験を歓迎するケースまで、幅広い層で求人ニーズがございます。また将来的な海外勤務に対し、高い意欲のある方にはチャレンジできる機会もございます。
 金融業界において、既にメガバンクからメガバンクへの転職は珍しいことではなくなりましたし、他業種からも幅広く人を受け入れています。そして近い将来大手生保業界でも、同様の状態が訪れることでしょう。直近ご支援に携わったメガバンク出身の候補者(クレジット投資のスペシャリスト)が、「長期投資を重点に置いている保険業界こそ、自分自身のスキルが最も活かせる場所。数十兆円規模の大きな資産を運用する大手で働いてみたい」と仰っていたことが印象的でした。 ご自身の新たな一歩を踏み出す際に、ご関心をお持ちになりましたら、ご相談下さい。

 コンサルタント 細沼弘樹

現状に満足しない、志あるプロフェッショナルのために。 Copyright © KANAE ASSOCIATES Co.,Ltd. All Rights Reserved.