ここ数年、金融ビジネスが確実に変化していることを感じさせる2つの大きな兆候があります。
　ひとつは、銀行系証券会社の飛躍的な台頭です。銀行と証券。異なる性格のビジネススキームとカルチャーを有するふたつの業態がこの十年間、試行錯誤を繰り返してきた結果、ここにきてこれまでの成果が結実し、その存在感がここ数年で、益々大きくなっています。

　先鋭的な金融プロダクトを顧客に提案することを強みとする証券会社の圧倒的な営業力と圧倒的な優良顧客を強みとする銀行の信頼性が融合することにより、極めて洗練されたビジネススキームを新たに生み出しています。投資銀行ビジネスにおける新しい潮流を肌で感じて、こうしたプレイヤーの活躍に注目が集まっています。とりわけ外資系投資銀行に在籍していた人材がいち早く反応し、銀行系証券会社へ優秀な人材が流動化する現象がおきています。

　もうひとつは、大手監査法人のビジネスモデルの転換の動きです。
監査先、非監査先の企業に対し、FAや、事業コンサルティングを通じて非常に精力的にビジネスモデルの転換を図る動きが活発化しています。

この動きに伴い、財務DDをはじめ、M&Aアドバイザリー、事業再生、不動産DD、ポストＭ＆ＡのＰＭＩなどのFAの求人ニーズが極めて高まっています。あわせてエネルギー分野のコンサルティング、情報セキュリティ分野に事業コンサルティングも各社がこぞって強化しています。
大手監査法人も銀行系証券と同様に圧倒的な優良顧客を強みとしている点では同じです。

　これら2つの新たな潮流はサブプライム以降、顕著になってきた金融ビジネスにおける不可逆的なの変化を示すとともに、世界的にも時代の趨勢となりつつあるようです。

KANAEアソシエイツ株式会社
代表取締役
阪部 哲也