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リスク、コンプライアンスコストの増大で、俄かに注目される「レグテック」。その採用動向について

 グローバル化に伴い、規制強化は高まるばかりです。世界的な規制強化の引き金となったリーマンショックの後、すべての金融機関はリスク及びコンプライアンスコストの増大という新たな問題に直面することになりました。
たとえば、米JPモルガン・チェース銀行の発表によれば、2012~2014年の3年間で規制強化、コンプライアンス対応のために全従業員の6%にあたる1万3000人を増員しました。かかった追加コストは20億ドル(約2,040億円)といわれています。このコストは年間営業利益の約10%を占めました。ドイツ銀行は2014年の一年で法規対応に13億ユーロ(約1,480億)の追加コストを捻出し、英HSBCでは2013年に3,000名のコンプライアンス人員の追加雇用を行っています。こうした背景から2015年以降、英国を中心に、「レグテック」なるキーワードが生まれ、広まってきました。「レグテック」とはレギュレーション×テクノロジー―を掛け合わせた造語です。
フィンテックに活用される様々なテクノロジー(ブロックチェーン/DLT、AI、生体認証など)を金融の要である規制対応に活用し、これまで以上に効率的で精度が高く、かつ漏れのない規制対応の実現を目指そうとするものです。

 わが国も例外ではありません。2016年、金融機関がマネーロンダリング(資金洗浄)などの疑いがあるとして警察庁へ届け出た取引情報が、40万件を超え、届け出制度が始まって以降最多となりました。態勢強化や不正検知システムの導入の結果とはいえ、KYCチェックに多くの人とそれに伴う相当のコストや時間が費やされています。

 そこで金融機関各社はテクノロジーの導入による合理化への取り組みを開始しました。そうなると必然的に専門的な知見を持った人材が外部に求められることになります。

 銀行では最先端テクノロジーを活用したリスク、コンプライアンス対応のできる専門人材を積極的に採用し始めました。外部にアウトソースして効率化するよりも、内部にナレッジを蓄積することが優先されているのです。それだけ重要なポジションとして認識されているのでしょう。
銀行にもましてREGTECH人材を積極採用しているのは監査法人系のアドバイザリーファームです。国内金融機関はリスク、コンプライアンス領域に関わらず、プロダクト開発等でも最先端のテクノロジーを活用する際、その技術的な有用性については理解しているものの、それと表裏一体である最先端テクノロジーの導入に係るリスク管理(導入方針が明確になっているか、利用におけるリスクを分析したか、どのように評価したか、など)について、十分に取り組めているとはいえません。また、指針や基準を策定している機関や当局にしてもテクノロジーの進歩にそれが追い付いているとは言い難いのが現状です。そこで、英国やシンガポール等での事例を有する大手監査法人系のアドバイザリーファームには大きなビジネス(一部のファームではこれを「REGTECHアドバイザー」と称している)チャンスがあり、積極的に人を求めているのです。

 一方で、こうした経験をお持ちの方は希少で、中でも最先端テクノロジーの導入に係るリスク管理の指針や基準の策定のご経験者となると、なかなか見当たりません。そこで、自社のプロダクト開発をしていた方や複数の金融機関及び関連する会社を取りまとめ、共同開発しているような「意識的にも無意識的にもリスクについての感度が高いであろうと思われる人材」が、採用のターゲットになっています。

 上記のような経験をお持ちの方、ご興味のある方は、ぜひ一度、ご相談ください。
 
                            専任コンサルタント/朝田恒平、土井徹

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