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ワンストップ・資産運用提案型へ。変化する金融リテールビジネスと、求人動向。
現在、金融機関のリテールビジネスは変革期を迎えています。この背景には団塊の世代の大量退職に伴う退職金運用ニーズと、高齢化社会による遺産相続、遺言信託ニーズの高騰が挙げられますが、この数年、こうした動きはますます顕著になってきました。また、長引くマイナス金利や手数料の減収、インターネット取引をはじめとするチャネルの拡大に伴い、新たな収益モデルの構築が急がれています。
とりわけ、高齢化社会に伴う、事業承継や資産運用の課題を抱えた富裕層向けビジネスに軸足を移す動きが目立ちます。定年退職以後、顧客のライフサイクルに合わせた資産運用の提案をしていくには、銀行、証券、投資信託、不動産など各領域で業務の棲み分けを行い、専門性を高めてきた、従来の販売型営業では十分ではありません。個別の金融プロダクトの販売ではなく、業態を超えて株式、債券、不動産、遺言信託と、ワンストップサービスを提供できる資産運用提案型のリテール営業の存在が大きくなっているというわけです。
このような業界動向に伴い、人材採用においても変化の兆しが表れています。
ひとつは異業界からの人材登用にメガバンクが門戸を大きく拡げはじめたことです。たとえば遺言信託や相続税、有価証券取引税などに対応するにはより専門的な税務知識が必要となるため、税理士や弁護士、不動産鑑定士を迎え入れる動きがみられます。また顧客の属性を分析し、囲い込みを行うために、コンサルティングファームやシンクタンクのコンサル部門での経験と汎用性が「メガバンクへの転身」という選択肢を可能にしています。
つぎに特筆すべきことは、証券から銀行への転身が増加していることです。まとまった資金を持ち、金融リテラシーの高い個人投資家に対応できる証券業のご経験者を銀行がプライベートバンカーとして歓迎しています。これは数年前から見られる傾向ですが、現在でも求人は途切れることなく、益々堅調に推移しています。
多様化する顧客ニーズにワンストップで応えるために。今後、メガバンクが従来の枠組みを超え、グループ内で連携してどのような「組織の変化」を果すのか。大きな期待をもって注目したいものです。
リテールビジネスのプレーヤーの皆さまにおかれましては、こうした組織の変化を注視しながら、個別企業の特性をよく理解した上で、ご自身に最も合ったフィールドを見極めることが必要と言えましょう。
私共KANAEアソシエイツは、金融リテール人材市場について、最新の情報をご提供します。関心をお持ちの方、お問合せをお待ちしております。
担当コンサルタント 芳山和也