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保険業界における運用トレンドの変化と人材ニーズの新潮流
運用環境がなかなか改善しない現在、保険業界では、これまで他国に比べ、高い傾向にあった国債運用比率を見直して、より高いリターンが期待できる外債や外国株、インフラファンドなどへ資金をシフトする動きが顕著です。また、海外の運用会社の買収や業務提携、ヘッジファンド型の運用手法の採用など、運用の高度化に向けた各社の取り組みがここ最近目立って参りました。とりわけ社債などのクレジットやインフラへの投資を柱とした、自ら投資先を発掘し、より高いリターンを狙う投融資が目立ちます。
最近の各社の取り組みについて、具体的に見てみましょう。
日本生命様は今年3月に「ストラクチャードファイナンス営業部」を立ち上げ、投資業務への取り組みを本格的にスタートさせました。今年6月にはGE社傘下のエネルギーファンドに100億円の投資を行うことを決定するなど、2020年度末までに成長分野に1.5兆円の投融資を行うことを表明されています。
明治安田生命様では社債などの投資を行うクレジット投資部を新設。今後3年間で国内外の社債などにおよそ1兆6000億円の投融資をする計画だそうです。
富国生命様は9月に海外債券の運用に強みを持つペイデン&リゲル社様と業務提携して海外での運用業務を同社に委託すると発表されました。
損害保険ジャパン日本興亜様においては昨年度よりすでにヘッジファンド型の運用に乗り出し、相場動向に左右されない運用益の確保を目指していらっしゃいます。
上記のように、運用の高度化を目指し、これまでとは違う運用の分野に挑戦する保険業界においては、人材ニーズにもまた変化が表れています。これまで日本の保険会社では新卒や系列の運用会社から人材を調達することが一般的でした。しかし昨今では社内に無いノウハウを求めた、外部からの専門人材の採用が拡大しているのです。
実際、弊社にお寄せ頂く求人を見ても、例えば銀行のプロップディーラーやプロジェクトファイナンス経験者など、求められる専門性が多様化しています。お声がけした候補者の方からは「日系保険会社が運用の高度化を推進していることは把握しているが、外部から中途採用を、さらには自分がターゲットになるとは!」という驚きの声も聞かれました。
このような新たなオポチュニティーについて、対象となるスペシャリストの方々はどうお感じになるのでしょうか。
私共はこれまでに沢山のお客様をスカウトさせて頂き、お話を伺って参りました。多くの皆さんが、「運用の高度化推進」という変化の局面においてプロジェクトをゼロから立ち上げ、事業を成長させていくスタートアップの醍醐味を経験できるチャンスであることは、仕事として魅力的だとおっしゃいます。一方、旧来の「総合職」としての採用に懸念を示される方が多く、これが応募を躊躇される大きな障壁となっているようです。
このことは既に企業側にも理解されていて、異動のない正社員制度や、総合職とは異なる専門職向けの報酬制度を新たに用意する会社が出てくるなど、各社人材確保のための対応を、次々と具体化しています。こうした企業側の努力もあり、弊社からのご推薦で応募頂ける方も徐々に増えて参りました。こうした専門人材の保険業界への流入は今後益々加速するであろうと思われます。まさに金融人材市場の新たな潮流といってよいでしょう。
専門的なファイナンス知識と経験をお持ちで、なおかつ新たな分野で挑戦をしたいという方、ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご連絡下さい。
専任コンサルタント 兵藤正憲