現在、地方銀行が積極的に中途採用を行っています。とはいえ、求職者の本音としては「離職者補充のための採用なのではないか」と躊躇される方も少なくないのではないでしょうか。

　昨今、長引くマイナス金利による業績の低迷や、テクノロジーの発展を背景に、メガバンクの人員整理や地方銀行の統合再編、合併が相次ぎ、今後も進むとみられています。一方で、地方銀行には見逃せない新たな潮流があることも事実です。それは「アライアンス戦略による新たなビジネスチャンスの拡大」です。最近では滋賀銀行のTSUBASAアライアンスへの参加のニュースなどがありました。

　再編とは距離を置き、アライアンス戦略によって生じる広域経済圏の中で、互いの地域活性を前提に、新たなプラットフォームを創っていく。トップ地方銀行ではこうした動きが顕著です。にもかかわらず、残念ながら、求職者の皆様にはあまり知られていません。
　言うまでもなく、地方銀行は地域における金融インフラの中心的存在であり、地域に根差した金融サービスを通じて地域経済に貢献しています。地域に強みを持つ地方銀行が更にアライアンスの枠組みを活用することで、融資だけでなく信託や証券業務まで、全国規模でサービスを提供することが可能になります。さらに各県のトップ地銀同士がタッグを組むことで、メガバンクではできなかった広域な販路拡大も期待されています。これまで難しかったことがアライアンスを組むことで可能になるだけなく、新たなシナジー効果が次々と生まれているのです。
　このようなビジネスチャンス拡大に伴い、各行ともより専門性の高いコンサルティングのできる行員を増やすことを掲げています。法人向けサービスにおいてはＭ＆A、ストラクチャードファイナンス、信託、事業承継、起業支援、ビジネスマッチングなど。他にもプライベートバンキング、Fintech、サイバーセキュリティ、IT、市場系ポジション、バーゼルⅢ対応、デビットカードの加盟店営業ポジションなど、採用職種は多岐に渡ります。さらに一部門を任せる部門長クラスの採用ニーズもあります。
　
　本稿では地方銀行の中途採用が欠員補充ではなく、アライアンス戦略に伴う、新たなビジネス拡大の積極採用であることを強調してお伝えしたいのです。なぜなら、相談にお見えになる求職者の方へ変化の兆しを迎えている地方銀行の実態を十分にアナウンス致しますと、多くの方が興味を示され、新たな選択肢として検討し始める方が、予想以上に多いからです。弊社のご紹介によって地方銀行へすでにご入社された方々からは「自分の生まれ育った地域で暮らす方々や、企業とのお取引を通じて、地域の発展に貢献できる」、「お客様や行員同士の距離感が近い環境だからこそ、腰を据えてお客様と向き合うことができる」など、おおむね前向きな声が聞かれます。　
　
　自分の生まれ育った地域でご家族との時間を優先したい方だけでなく、ワークライフバランスを重視したい方にもおすすめです。深く、長く、働き続けられる環境を希望する方にとって、地方銀行は有力な選択肢のひとつと言えるでしょう。地銀人材バンク制度を活用すれば、例え結婚や配偶者の転勤などで転居を余儀なくされても転居先の銀行で雇用されるので、キャリアの中断をせず働き続けることも出来ます。

　転職のひとつの選択肢として、ご検討されるに十分に値する選択肢かと存じます。地方銀行での就業を新たな活躍のステージとしてご検討したい方、興味を持たれた方は、ぜひご相談ください。

　専任コンサルタント　　澤田　勢多