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投資銀行業務経験者の、PEファンドへの転職
金融業界の転職者数が急増しています。リーマンショック直後の2009年(いまから約10年前)と比べても、金融業界全体では約3倍。銀行にいたっては7倍という報告もあります。最近ではメガバンクの人員削減の影響もあり、金融業界から金融業界へという業界内転職の事例は確かに減少しました。銀行員の転職先が金融業界である割合はわずか3割に過ぎないというデータもあります。
しかしこのことは、金融業界出身者の転職が難しいということではありません。金融経験者はコンサルティング業界や各種事業会社、教育分野など幅広い分野で歓迎されています。金融業界出身者が持つ以下のような能力が期待されているのです。
・財務分析で培われた「数字の強さ」
・物事を俯瞰しながら、課題を特定していく「見立て力」。
・関係者を巻き込み、プロジェクトを仕立てあげるプロデューサーとしての「機動力」
・「ストレス耐性の強さ」と「精神的なタフネス」
など。金融業界の方々は転職市場においては競争力が高いといえそうです。
ところで異業界への転出が増える金融業界の中においても、投資銀行業務経験者、特にM&AバンカーについてはPEファンドやベンチャーキャピタルなど、金融業界内に留まる転職が目立ちます。特に投資銀行経験者に人気の転職先であるPEファンドへの転職する方は、概ね以下3タイプの、いずれかの動機をお持ちであると思われます。
1、 ひとつひとつのM&Aに対してアドバイザーという立場で表面的な分析の部分で終わってしまうことにはがゆさを感じ、当事者としてより深くビジネスに関わりたいと感じている方
2、 株主という立場で投資先企業の経営に参画し、ガバナンスを効かせて会社を変革して、社会的意義のあることを実現したいと感じている方
3、 PEファンドで経験を積み、「プロ経営者」になりたいという強い思いをもたれている方
PEファンドは単なる投資決定や資金供給にとどまらず、大口株主として投資先企業の意思決定に関与する、ファンドメンバーを取締役として派遣してマネジメントを握る等、企業の経営に深く入り込むことで企業価値の最大化を狙います。このポイントはいわゆる投資信託などとは一線を画する点であり、他業界で経験を積んだエリートたちがPEファンドへの転職を志す理由のひとつだと考えられます。
2017年頃から外資・日系問わずPEファンドの採用ニーズは特に高く、多くのPEファンドでアソシエイト(27~32歳前後)クラスの募集が継続的にあります。最近では、アソシエイトではなくアナリスト(25~27歳前後)として採用する日系PEファンドも登場するなど、裾野が広がっています。足下の状況はPEファンドへの転職を志望する方にとって、非常にチャンスといえるでしょう。
テクノロジ―の進化に伴い金融業界も構造改革が進み、ビジネスサイクルがこれまでにないスピードで速まっています。こんな時こそ、ご自身の価値を高め、将来の選択肢を豊かにするキャリアパスについて一度、じっくりご検討されてみてはいかがでしょうか。
担当コンサルタント 安藤淳平