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オルタナティブキャリアとしての新たな選択肢「CVC」

 「大企業がスタートアップへの投資を拡大している。味の素や商船三井など事業会社が設立したコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)約100社を日本経済新聞が調べたところ、投資予算枠は合計で約6000億円となった。企業は事業面の多様な支援を組み合わせて投資することが多く、スタートアップが成長しやすい環境が広がってきた。」(日本経済新聞2021年10月21日)
 6000億円と言えば、VCが年間に組織するファンドの約2倍。21年の投資見通しに関しても約半数社が「投資額を増やす」と回答しています。コロナ禍後の経済回復を見据えた投資としてだけでなく、事業面の多様な支援を組み合わせ、本業へのシナジー効果を期待する新規事業のインフラとして投資する傾向にあるのが特徴的です。

 実際の成功事例としてはシリコンバレーで活躍するCVCとして旭化成の事例や「スタートアップの集合体」と称されるオムロンの事例があります。旭化成はこれまでに投資先から2社のスタートアップ買収に成功し、ファイナンシャルリターンを確実に確保しつつ、投資予算規模を年々増やしています。またここ数年、遠隔医療に注力しているオムロンは2025年に100万人の登録者獲得に向け、インドに参入しました。
 日本のCVCが投資を考えている分野として挙げられるのはAI、IoTを筆頭に、法人向けネットサービス、SaaS、環境エネルギー、ヘルスケア、宇宙と多岐にわたります。金融機関においても子会社などが組成したファンドを通じて、国内外のFinTechベンチャー等への投資が活発に行われるようになっています。具体的にはオフラインデータのデジタル化を行う海外FinTechベンチャーへの投資を通じ、DX化を推進し、作業効率化と顧客の利便性向上を図っています。

 CVCによる投資案件は増加の一途ですが、現場での人材不足がなかなか解消されないことも事実です。CVCは投資先選定から投資、ファンド管理まで全てを自社内でまかなうため、ベンチャー投資に精通している人材を調達する必要があります。そこで、採用の対象として、投資先企業選定や投資判断等の即戦力としてVCや投資銀行で高いスキルを培った人材が求められています。具体的には、デューデリジェンス、投資後のモニタリング、企業買収、IPO、会社の精算、売却、投資にかかわる実務など幅広い職種に及びます。他にも投資銀行やVCで投資業務に携わっていた経験者、ベンチャーキャピタリストをはじめとし、ファンドアドミンなどのバックオフィス人材、法務のスペシャリストなどの求人案件も少なくありません。これまで外部にアウトソーシングしていた実務を社内で内製化する動きも目立ちます。また投資先が海外企業であることも多いので、USCPAや英語が堪能なアドミンアシスタントへの求人ニーズも散見されます。
 人材不足をカバーするため、最先端技術の専門知識と財務デューデリジェンスや企業評価のスキルセットを一人の候補者に求めるのではなく、少数精鋭のチームとして具備することを目指す動きもあります。そうした組織では、M&Aアドバイザリーやバイアウトファンドの経験は財務評価のプロフェッショナルとして高く評価され、監査法人でファンドアドミンの経験を積んだ方も重宝されています。

 かつてM&Aアドバイザリーやバイアウトファンド経験者の転職先といえば、総合商社やエクイティファンドという選択が主流でしたが、この2~3年はメガベンチャーのCFOへの転身に食指を示す傾向が続いていました。その後、メガベンチャーの人気が下火になった現在、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)への転身が新たなオルタナティブキャリアとして選ばれるようになっている潮流は注目に値します。
 シナジーが得られる事業であれば誰よりも早くスタートアップ企業の中に入って行く、という他の職種にはないダイナミックな場面に立ち会えることが醍醐味であると同時に、ワークライフバランスも叶えられるモデレートなポジションも魅力的だという候補者の方が少なくありません。

 今後の人生の選択肢の一つとしてCVCにてキャリアを積んでみたいという方は是非、弊社にご相談ください。

 専任コンサルタント 益田あずさ

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