メガバンクによる店舗削減はこれまでも都市部を中心に着々と進められていましたが、最近では中堅銀行、地方銀行もこの流れに追随する勢いを増してきました。インターネットやスマートフォンの有効活用に伴い、銀行窓口への来店者数は10年前に比べ、約３割～4割まで減少していると言われています。

　単に金融サービスにおける顧客の行動変化のみならず、DX化の進展により事務処理の大幅な合理化、効率化が可能になった今、店舗の減少はさらに加速すると予測されます。たとえばタブレットやATMなどによる各種手続きの電子化、事務の集約、ATMの相互利用や無人店舗をはじめとする軽量店舗の拡大は必至です。これまでは店舗削減に伴う人員削減ばかりが注目されてきましたが、併せて施設関係費など固定費の見直しが喫緊の課題となっています。

　こうした背景からファシリティマネジメント人材の採用ニーズがにわかに高騰しています。
　特徴的であるのは従来の施設管理とは異なり、施設の価値を最大限に引き出し、資産管理や財務管理、生産性向上など、戦略的な「最適化」を実現できる人材が求められていることです。事務の集約により空いたスペースを資産運用の相談窓口に変えるなど一部取り組みが見受けられるとはいえ、営業導線のみならず、利用する人の環境全てを見直す必要があり、経営資産としての施設の活用法をゼロから新たに企画し、創造するニーズが生じています。

　実際、複数の金融機関様からファシリティマネジメント人材の採用ニーズを伺っております。設備投資、施設運用費の最小化、顧客の満足度と生産性の最大化に加え、企業の社会的責任（CSR）や環境問題への効果的な取り組み、人間工学に基づいた環境整備など長期的な視野と計画性、エンジニアリング分野における設計・建設維持まで、必要とされるスキル要件は多岐にわたります。現在設計事務所に勤務している一級建築士や設備管理／電気設備技師の有資格者などへの強い引き合いがあります。またこうした求人ニーズがあることを当該者にご紹介しますと、非常に反応がよいことも見逃せません。

　メガバンクをはじめとする金融機関が保持する施設の多くは駅近隣の物件である一方、バブル時代に建設された施設も多く、多額の維持費用がかかる割に活用されていない、加えて環境問題の観点から見ても問題を抱えた物件も多いようです。そのため、将来の建て替えを見据えたゼロベースでの企画設計などが魅力的に映るようです。候補者の方々にお話を伺うと、こうした課題解決はファシリティマネジメント企画の腕の見せ所としてやりがいと感じられる方が多いようです。さらに銀行グループ内では中規模デベロッパー級の延行面積を有した施設を保有しており、今後規制緩和やグループ会社とのシナジー効果が期待されれば、ご活躍の場が更に広がる可能性も十分に考えられます。

　KANAEアソシエイツではこうした募集案件の求人情報をご提供するだけでなく、各銀行の組織文化や風土を踏まえて候補者様の価値観に沿ったご提案させて頂きます。ご興味を持たれた方は是非一度、ご相談下さい。

　専任コンサルタント　畑山良太