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他業種から銀行業界への転職
超低金利状態が長期化し、預貸金、為替など伝統的な業務における収益回復の兆しがなかなか見えない中、銀行業界を取りまく環境は相変わらず厳しい状況が続いています。こうした状況に適応すべく各銀行は新たな収益確保のため、新しいビジネスモデル構築を加速させており、競争力を向上させ、差別化したサービスを展開していく重大な節目にいると言えます。
そのような中、2021年5月に改正銀行法が成立し、銀行等の業務範囲が拡大され、広告・宣伝業、自行開発ITシステムやプログラムの販売、人材派遣などの新しいビジネス機会の創出が可能となりました。そうした機会を活用し、収益拡大につなげていく機運も高まっております。従来のビジネスモデルを変革し、これまでの銀行では考えられなかった新たなビジネスやサービスを取り入れていく不可逆的な流れはますます強まりそうです。
銀行業界におけるこうした新たな事業を取り入れていく流れは、採用ニーズにも現れております。弊社から、ご入社を支援させていただきました方のうち、他業種から銀行業界に進まれた方の割合は、2019年度は14%、2020年度は20%、2021年度は27%と3年連続で増加しております。新たな取り組みを推進するため、他業種からのプロフェッショナル人材へのニーズは堅調に増えていると言えそうです。
具体的な職種としましては、UI/UXデザイナー、デジタルマーケティング、ファシリティマネージャー、ESG関連コンサルティング、サイバーセキュリティIT戦略、社内弁護士、物流コンサルティング、IR/SRコンサルティング、建築コンサルティング、不動産仲介業務などが挙げられます。
他業種のプロフェッショナル人材の方に、銀行業界でのポジションをご提案させていただきますと、「銀行業界で自分のこれまでの経験が活かせるポジションがあるとは思いもしませんでした」と、まずその意外性を感想として述べられる方が少なくありません。また求められる役割やカルチャーなどについてイメージが湧きにくいという声も多くいただいております。そこで、銀行における当該ポジションの立ち位置や、求められる役割、カルチャー、更に、職種によっては過半数の在籍者の方が他業種からの中途採用の方であることなどを具体的にお伝えさせていただきますと、理解を深めていただき、関心をお持ちになる方が思いがけず多い印象です。
今回は実際に他業種から銀行業界へ進まれたプロフェッショナルな方の転身の経緯を一部ご紹介させていただきます。
■サービス業界からUI/UXデザイナーポジションへ
サービス業界にて自社Webサイトにて制作、管理、Webマーケティング含む運用業務にてご活躍されていた30代の方。
転職活動当初から銀行業界にはご関心をお持ちで、ご自身の専門性を活かせる職種を希望されておりました。銀行当該部署のご担当者様との面接を通じ、銀行がこれから目指している事業イメージや業務の重要性について理解を深められ、ご自身のイメージや進みたいと考えている方向と一致していることを実感され、ご入社に至りました。
■デジタル・インターネット事業からデータエンジニア業務へ
デジタル・インターネット事業にてデータエンジニアとしてご活躍されていた30代の方。
現職にて銀行への出向経験があり、銀行業界に親和性をお持ちで、ご自身のこれまで培ったデータエンジニアとしての知識を活かしつつ、社内からの立場で、事業に関与できるポジションを希望されておりました。ご本人の希望と、企業側のデジタルマーケティング、DX推進のためにその基盤整備から事業を推進してもらいたいというニーズがしっかりと合致し、更に年収アップも実現されて、ご入社に至りました。
■ビルマネジメント事業からファシリティマネジメント企画へ
ビルマネジメント事業にてコンストラクションマネージャーとしてご活躍されていた20代の方。
コロナの影響もあり、業界環境が厳しくなる中、在籍事業が他企業に吸収されるなど外的な要因もあり、ご転職をお考えになり、経験を活かせるポジションを希望されておりました。当初は、銀行における当該業務について明確なイメージをお持ちではなかったものの、ご面接を通して、銀行の保有するアセットクラスの多様性、店舗の統廃合にかかるデジタル化を取り入れた新たな流れも実感され、やりがいをしっかりと認識いただけました。また、本社勤務により転勤の可能性もなく、現在の生活拠点から離れる必要がないこと、また大幅な年収アップの提示があったことも背景に、ご入社に至りました。
■食品・小売業界から物流コンサルティングポジションへ
食品・小売業界にて配送・倉庫関係の業者マネジメントにてご活躍されていた30代の方。
転職活動当初は、これまでのご経験を活かし、上流工程から業務に携われ、なおかつ長期的なキャリア形成の出来る環境を求めていらっしゃいました。銀行のご担当様とのご面接を通じ、銀行業においても様々なニーズや課題をお持ちのお客様に対して物流コンサルティングが一つのソリューションとして必要とされている実感を深められたようです。ご自身の立ち位置ややりがいをしっかりと認識され、さらに銀行での総合職としてのキャリアについても、ご自身の専門性をベースとして可能性の広がりをお感じになったようで、ご入社に至りました。
■不動産業界から不動産仲介業務へ
不動産業界にてホテル等分譲にかかる営業職にてご活躍されていた20代の方。
転職活動当初から銀行業界にはご関心をお持ちで、ご自身のこれまで培った不動産に関連する経験をキャリアの主軸にできるポジションを希望されておりました。面接を通じて、これまでの法人仲介の経験を活かしつつ、ご自身の持つ英語力も活用できる業務にキャリアの広がりも実感されて、また年収についても現状より高いご提示になったことも後押しとなり、ご入社に至りました。
銀行業界への転身を決意された理由として、候補者様から伺ったポイントを整理しますと、
1. 新たなビジネスモデルの構築を目指し前向きな姿勢の同僚が多い環境やカルチャーに対して好印象を持たれたこと
2. 銀行業というビジネスだからこそ持ちうる、顧客との関係性、豊富なデータ、信頼性といったところに更なる可能性を実感されていること
3. 前業界と銀行業界での働き方を比較され、今後のライフサイクルに適した効率的な働き方が選択できると判断されたこと
4. 前業界と銀行業界の給与水準を比較され、大幅な給与アップが見込めたこと
5. 総合職という選択肢を自身の専門性をベースとした、新たなキャリアの幅と受容されたこと
などが挙げられます。
ご自身の専門性が高くなればなるほど、新たな転身先として最初に銀行業界を想起する方が少ないと思われますが、変革の時期だからこそ経験できることや実感できるやりがいを感じられるチャンスも思いがけず存在しているのも事実です。黎明期の分野によっては他業界からの知見がとても重宝されるため、転職後「居心地がとてもよい」という声も寄せられています。
弊社では各ポジションに対する要件をご案内するだけでなく、企業様ごとの風土や組織構成なども含めてお伝えさせていただいております。他業種から銀行業界での新しいキャリアにご関心をお持ちの方はぜひ一度ご相談ください。
専任コンサルタント 谷地田まな海