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ネット証券業界の最新動向と、採用ニーズの変化

 みずほフィナンシャルグループが楽天証券の株式を取得したニュースは未だ記憶に新しいことと存じます。三菱UFJフィナンシャルグループとauフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループとSBIグループの提携に続き、メガバンクとネット証券の資本提携が進む中、証券業界では若手層を中心とした新しい顧客層の獲得競争が激化している印象です。

 コロナ禍以降、外出自粛により、個人投資家が急増したことはネット証券にとって大きな追い風となりました。さらにいわゆるデジタルプラットフォーマーが自社の本業であるデジタルサービスから派生した決済サービスにおいて金融サービスを提供し始めたことで、顧客との接点が対面窓口からwebやスマホアプリへと加速的に移行し、そのシナジー効果でこれまで投資に馴染みのなかった若手層が投資サービスへ参入しやすくなりました。
 日本証券業界協会が3年おきに実施しているアンケートの結果によれば、20~50代の投信保有者の割合が2012年以降徐々に上昇し、2018年~2021年にかけては20~40代の保有者が急増していることがわかっています。投資の小口化により現在では1株からでも投資が可能ですし、さまざまな資産の購入のタイミングを分けられる分散投資でリスク分散も計れるようになりました。またクレジットカードやスマホ決済などで貯まったポイントを投資に回す、「ポイント投資」が可能になったことも若手層と投資サービスの親和性を高めたといえるでしょう。

 こうした動きは、年々ネット証券のプレゼンスを高めており、金融業界でも今後の動きに関心が高まっておりますが、その中でも注目されるポイントは以下2点ではないでしょうか。
 まずは、SBI証券が口火を切った「株式売買手数料無料化」。この流れが証券業界に今後どのような変化をもたらすのかは見逃せません。ネット証券で個人投資家向けにサービスを提供するのみならず、収益の多角化が求められるようになれば、特に株式の売買手数料の売上割合が大きい企業は資本提携や買収なども考えらるかも知れません。そのため、今年のネット証券業界は業界再編を含めた人材の流動化を注視する必要があるでしょう。
 次に、今年末から来年ともいわれている楽天証券の上場についてです。株式上場により、より自律的な経営視点で成長戦略を遂行するほか、独自の資金調達を含め、様々な成長及び財務戦略を検討可能になると目されております。合わせてみずほ証券との提携により対面・非対面それぞれの強みを融合させた、新たな総合資産コンサルティングサービスを確立する期待が高まっております。
 
 こうした潮流の中、ネット証券の中途採用動向は昨年に引き続きデジタルマーケティング人材を中心に堅調ですが、最近特徴的な求人ニーズとして、コーポレート人材の採用ニーズが顕在化してきております。具体的には、利用者数の急増に伴いコンプライアンス体制強化のための人材、上場に伴う機関投資家向けIR業務、新規事業開発を伴う経営企画業務等、様々なポジションで採用ニーズが活発化しております。更に若年層よりもむしろ、より経験値が高いシニアな求職者を求める傾向が強くあるのは興味深い点です。
 実際にお声がけさせて頂くと、メガバンクで数年後役職定年を迎えられるコンプライアンスや内部監査人材の方がネット証券での新たな挑戦にご関心をお持ちいただけるケースも増えております。これから過渡期を求めるビジネスに携わりたい、新しいサービスを開発したいという方にとっては豊富な選択肢の中からご自身のキャリアパスを見直せるチャンスと捉えることもできるでしょう。ご興味を持たれた方は、ぜひ一度ご相談ください。

 コンサルタント 畑山良太

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