KANAE ASSOCIATES

TEL 03-3431-7700

最新情報News

セキュリティトークン市場拡大に伴う転職市場の活発化

期待高まるセキュリティトークン市場

 2021年8月に日本初の公募型不動産セキュリティトークン(デジタル証券)が発行されてから約2年が経過しました。2020年施行の改正金融商品取引法でデジタル証券が解禁されたのち、新たな金融商品が登場した当初の期待感については過去のVOICE「セキュリティトークンがもたらす、新たな市場創出と熾烈な人材争奪戦」にて既にお伝えしておりました。
 本稿では順調に市場を拡大しているセキュリティトークン、特に不動産セキュリティトークンビジネスの現状、拡大の理由、そこでの転職市場の活発化についてお伝えして参りたいと思います。

 不動産セキュリティトークンは、不動産を裏付けとした有価証券の権利移転を、ブロックチェーンを使って管理し、取引をデジタル上で完結できる不動産のデジタル証券を指します。セキュリティトークンの大きな特徴はブロックチェーンを活用することで、事務コストを大幅に削減できるため証券の小口化が可能となったことです。これにより投資家は少ない金額から投資に参加できます。また、企業にとっても資金調達の手段が広がるため、近年注目されるようになっています。従来の不動産ファンドに比べ、個人投資家から直接出資を受けるセキュリティトークンは投資のしやすさ、債権の安定性、換金可能性、税負担などの面において投資家にとってメリットが大きいとされ、投資家、企業の双方からの期待がますます高まっています。

市場拡大の中、転職市場も活発化

 一口に不動産セキュリティトークンビジネスと言っても、市場を構成するプレイヤーは多数います。たとえば、裏付資産を保有している不動産会社、セキュリティトークンを発行するファンド(委託者)、引受・販売する証券会社、管理、信託事務を執行する受託者(信託銀行)、投資・運用指図するアセットマネージャー、ブロックチェーン基盤を提供するプラットフォーマー、などが挙げられます。
 市場拡大が進む中、採用ニーズの高まりを受け転職市場も活発化しています。求人職種は広範囲に拡大し、求められる人物像については案件毎に細分化されていることが特徴的と言えそうです。
 証券化、仕組債等組成、ストラクチャードファイナンスなどプロダクト毎の知識と経験のみならず、セキュリティトークンビジネスの可能性を資金ニーズのある企業へ訴求することができる顧客への提案力、営業力も重視されています。大手銀行、信託銀行の総合職として(主に対面)営業経験の方に期待が寄せられています。日々更新される新たな市場動向を俯瞰しつつ、プロダクトの情報や知識をキャッチアップできるフレキシビリティを持った方をはじめ、デジタル証券の融資経験のある方はもちろん、仕組債の営業経験をお持ちの方も親和性があるとして評価されています。
 また、ひとたび受託となった場合の法律的な側面から企画・管理を担える人材ニーズも高まっています。拡大基調に伴う攻めだけではなく、守りを固めるという両輪が同時に必要とされているフェーズということもあり、弁護士事務所経験者やパラリーガルの方も歓迎される傾向にあります。

 求職者側が将来を見据えたキャリアパスをお考えになるとき、「より専門性を高めたい」「異なるアセットの専門性も身につけたい」「受託者サイドからプラットフォーマー側へ転身したい」「誰も経験したことのない、新たな市場開拓に挑戦したい」などのご希望が叶うかどうかで選択なさるケースが多いですが、現在はいずれの機会も叶えられる状況といえます。

 一方でセキュリティトークン市場が未だ黎明期といえる今、ニーズに合致する人材をいち早く採用できるか否かは、採用側にとっても非常に重要なタイミングといえます。この状況はしばらく続きそうです。双方にとって、よりよいマッチングのご提案をさせていただけますよう、引き続き最新動向をウオッチして参ります。ご興味を持たれた方はぜひご相談ください。

 コンサルタント 谷地田まな海

現状に満足しない、志あるプロフェッショナルのために。 Copyright © KANAE ASSOCIATES Co.,Ltd. All Rights Reserved.