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「キャリア採用のプロフェッショナル」採用ニーズの考察
金利上昇局面における金融機関の求人動向で、最も影響が出る部署は人事部門かもしれません。
金利上昇を背景に、本部で長く勤務された方が営業店へ戻っていく流れが生じ、その穴を埋めるための即戦力採用ニーズが高まり、まずは「キャリア採用のプロ」を求める声が高まる中、なかなか適任者が現れず、採用が計画通りに進まない。多くの金融機関でこのような状況がここしばらく続いています。買い手市場であった時代には金融業界における人事部門はいわゆる出世コースと言われたものですが、売り手市場の現在は求人倍率が高いことに加え、経営陣から求められる経験やスキルなどの採用要件も難易度が高いことが特徴で、「キャリア採用担当者」は埋まりにくいポストのひとつに数えられています。
本稿では弊社を通じ「キャリア採用担当者」として大手金融機関へ転職された方の入社後のご活躍の具体例を通じ、難易度が高いと考えられている「キャリア採用プロフェッショナル」の人物像について考察してまいりたいと思います。
ここ数年、経営陣から求められるキャリア採用の要件として急上昇しているキーワードとして「デジタル人材」、「女性管理職」、「事業成長を牽引する広告塔となるような人材」などが挙げられますが、いずれもあらゆる業界で引く手あまたの人材であり、かつ当該者の数が限られている難題です。業務拡充のため、「優秀な人材を採用したい」と望む企業は金融業界に限ったことではなく、他業界も含めた採用競争において抜きん出るためには、何よりもまず、これまでにない「採用のアイデア」が求められます。ダイレクトスカウトや人材エージェントのみならず、最近では自社の社員の人的ネットワークを駆使したリファーラル採用など多様なリソース活用が目立つようになりました。それに加え、役員らと直接コミュニケーションをとりながら本部長クラスに対して人事部から提案ができる人材となれば、キャリア採用担当者は「人材戦略の要を担うポジション」と言っても過言ではありません。優秀な人材をめぐっての争奪戦は熾烈であり、大企業の社長自ら初回面談に臨むケースもあるほどです。
ここで優秀なキャリア採用担当者を迎え入れた結果、キャリア採用の精度が劇的に変わり始めた大手金融機関の事例をご紹介します。この方は弊社を通じ、異業界からキャリア採用担当者としてご入社された方でしたが、いまではエージェント泣かせの採用力を発揮され、八面六臂のご活躍ぶりには目を見張るものがあります。
まず、ご入社後すぐに主要エージェントとの定例ミーティングを設定され、コンタクト回数を増やし、情報共有の頻度と精度を上げられました。同時にダイレクトリクルーティングの見直しをされ、現場からスカウト送付を可能にされました。現場が作成した求人票を人事と定期的に打ち合わせすることで「望ましい人物像」(ペルソナ)を明確にし、エージェントにも公開するという徹底ぶりでした。それまで報奨金のみの支給だったリファーラル採用においては会食費も補助するなど、こまやかな目配りも発揮されました。また1対1のメンター制度を任命し、入社後の社員のケアの充実を図るなど、これまでの金融業界にはない発想で次々と革新を起こしておられます。こうしたイノベーションをもたらす機動力に加え、特筆すべきは人事のプロフェッショナルにふさわしい「目利き力」です。
いまなお求人ニーズの高い「キャリア採用プロフェッショナル」人材ですが、転職後のご活躍ぶりをご紹介することで現在求められている人物像を具体的にイメージしていただけたのではないでしょうか。金融業界の人事制度に新しい風穴を開けたい、イノベーションを起こしたいと思われた方はぜひご相談ください。
コンサルタント 澤田勢多