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機関投資家のプライベートデットファンド投資拡大と採用動向

 近年、金融機関・機関投資家の間でプライベートデット(以下 PD)領域の採用に関する相談が増えており、その背景について整理します。

 JPモルガン・アセット・マネジメントの「第17回 企業年金運用動向調査(2025年3月末時点)」によりますと、「確定給付型企業年金(DB)の中長期の資産配分計画におけるオルタナティブ資産の比率が24.9%と過去最高になった。また、過去、オルタナティブでは幅広い戦略への配分増が続いていたが、今年はインフラやPDのインカム系資産が主となっており、根強いニーズが改めて示された」と紹介されています。PEファンドが牽引してきたプライベートアセットにおいて、近年はPDファンドも存在感を高めています。

 PDファンドは中堅企業向け直接融資やLBOファイナンスを担う資産クラスとして拡大してきました。グローバルな金融危機後の低金利環境下での運用ニーズの高まりや金融規制強化等を背景に、米国を中心に、借り手企業と投資家の裾野を広げつつ、運用資産が拡大してきました。なお、日本におけるPDファンドの融資先企業は、銀行による融資が支配的であったり、欧米対比で貸出金利が低いことなどから、米欧対比で極めて限定的です。

 アセットオーナー側のPDファンド投資への関心の高まりを表す記事として、2025年10月09日金融業界専門紙ニッキンでは「PDファンドに出資する地域銀行が増えている。トパーズ・キャピタルが5月に立ち上げたファンドには49社から500億円の資金が集まり、出資者の半数を地域金融機関が占めた。(中略)トパーズ・キャピタルが2012年に立ち上げた国内初のファンドで集めた資金は117億円だったが、今回4.3倍に増えた」とあります。また、2025年5月14日日経新聞では第一生命の運用トップが「25年度の運用計画で重視するところは」という問いに対して「PDには注力していく。日本株の残高縮小に伴う期待収益の落ち込みを補いたい。低格付け社債(ハイイールド債)のように市場価格が激しく変動することもなく、高い利回りを見込める」と回答しています。

 運用会社の立場でも2025年12月15日ロイターの記事にて野村ホールディングス奥田健太郎社長が「オルタナティブ資産の拡大に向けてPDを手がける運用会社の買収も視野に成長投資を検討している」ことを明らかにしています。「欧米のPD市場の知見を取り込み、日本市場でも本格展開を目指す。(中略)野村HDは、株式・債券中心の事業構造から、安定的な手数料収益を生む運用ビジネスへの転換を進める中で、オルタナティブ資産の運用残高を2031年3月に約10兆円へと引き上げる目標を掲げている」とも述べています。

 GPに関する記事としては、2026年1月21日ロイターの記事に「MUFGが、プライベートクレジット(ファンドによる融資)やインフラなどのオルタナティブ投資を加速させている」とあり、三菱UFJ信託銀行の染谷知常務執行役員が「自社で運用するオルタナティブ資産のAUMについて、29年度を最終年度とする次期中期計画では、少なくとも倍にしたい」「国内外の企業向け融資やプロジェクトファイナンスに関連する貸付債権を投資対象とするファンドを組成し提供する」「特に国内では、円金利の上昇によりリスクに見合ったスプレッドを確保しやすい環境が整い、クレジット投資の魅力が高まっている」と述べています。

 PDに関する求人としては、PE対比でまだ少なく、また募集の仕方として「オルタナ全般(PDも含む)」という内容が多いものの、例えば①アセットーオーナー側では生命保険会社にて「プライベートデット投資業務」、②運用会社側では信託銀行やAM会社から「プライベートデットのゲートキーパー」、③GP側では「内製プライベートデットファンドの運用・組成」、といった、PDにフォーカスを当てた求人も一部ございます。①②は同職種経験を求めるケースが多いですが(①同士、②同士、①↔②)、③は銀行やリース会社において海外企業向け融資やストラクチャードファイナンス(プロジェクトファイナンスやLBOローン)の経験をお持ちの方も対象となっております。「融資実務を続けるか」「投資側に回るか」というキャリア選択を意識し始めた方にとって、現実的な選択肢になり始めています。

 日本におけるGPはまだ希少です。その理由はシンプルで、上述の通り、日本企業の資金調達は依然として銀行依存度が高く、ダイレクトレンディング市場が欧米ほど発展していないためです。現時点ではPDは日本においては出資先を募ることに関連する業務がメインとなっておりますが、ブラックストーン、KKRなど海外のPEファンドの幹部が、日本での融資機会を探り始めている旨の報道もあり、今後は外資GPにおける日本採用で、出資先を募るだけでなく融資先発掘の業務も徐々に増えてくる可能性があります。PDは「欧米では既に確立された市場だが日本ではまだ黎明期」と言われており、今後は日本国内でも成長余地が見込まれています。日本で当該経験を持つ人材自体がまだ少なく、今後の市場拡大の局面では、国内での実務経験を持つ人材の希少性が高まる可能性があります。海外ではプライベートクレジット市場に関連したデフォルト懸念が一部指摘されている点には留意が必要ですが、審査力やリスク管理の高度化がより求められる局面とも言えます。

 弊社は上記①②③いずれのパターンでも転職支援実績がございます。ご関心のある方、まずは情報交換ベースでも構いません。非公開情報も含め、具体的にご説明いたしますので、ご連絡ください。

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