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直近半年間の資産運用ビジネス転職市場と採用動向の変化

 長引くコロナ感染拡大に対する自粛要請に伴う飲食店での深刻な経営悪化や訪日客減少等の影響を受け地価が減少に転じるなど、ネガティブなニュースを耳にする毎日が続いており、コロナ禍は1年経った今なお、世界の経済活動に大きな影響を及ぼしています。転職市場全体にも影響を及ぼし、厚生労働省が4月30日に発表した2020年度平均の有効求人倍率は、前年度比0.45ポイント低下の1.10倍で、求人数全体は減少傾向にあります。

 しかしながら、このような状況下においても、金融専門職に関する求人ニーズは引き続き堅調です。当社では昨年4月、本欄において、コロナ感染拡大下にもかかわらず、金融専門職の求人は、依然として活況である旨をご報告致しました(こちらをご参照ください)。この状況は一年が経過した今も継続しております。今回は、金融業界の中でも特に資産運用ビジネスにフォーカスして、その転職市場と採用動向の変化を、直近半年間を振り返り、お伝えして参ります。

 資産運用ビジネスにおいては、これを取り巻く環境の変化に伴い、投資家の動向に変化がみられました。昨今、過熱気味と言われている株式市場や低利回りの債券からの投資収益に懐疑的な見方が広がり、オルタナティブ投資への関心が高まっているのです。JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が、2021年3月31日に発表したプレスリリースでは、日本の企業年金基金を対象に行った聞き取り調査の結果、オルタナティブの割合は昨年度の21.3%から22.5%と増加し、過去最高を記録しており、今後の資産配分の方向性を問う質問に対して、回答者の29%がオルタナティブを増やす方向と回答しています。

 こうした投資家のニーズの変化を汲み取り、資産運用の業界では新たな採用ニーズが次々と顕在化しています。当社がここ半年以内にお話を伺った国内外の資産運用会社59社のうち、「オルタナティブ関連の求人ニーズがある」と回答した企業は、29社でした。具体的にはヘッジファンド投資、プライベートエクイティ投資、インフラデット、インフラエクイティ、プライベートデット投資、海外不動産投資の分野など。いずれもご採用の意欲は高く、人材獲得戦争の様相を呈しています。また、プライベートアセットのオフショア商品企画、オペレーションデューデリジェンス、ファンドアドミ業務の採用ニーズも高まっています。

 これらオルタナティブ投資領域の採用ニーズの特徴は、例えば一口にヘッジファンドと申しましても会社によって求める専門スキルは細かく異なることです。求職者も自身のスキルセットと募集ポジションのアセットクラスがいかにフィットするか、また転職によって新しく低流動性資産などのアセットクラスを学べるかといった観点からもよくよく求人を吟味しており、マッチングが難しく、ポジション優遇や高い年収提示にもかかわらず優秀な人材の確保が難しくなっているのが現状です。

 資産運用業界は金融業界の中でも求職者の人気が比較的高い業界ですが、このように様々な採用ニーズが顕在化している現状から、求職者の皆様にとっては、ご自身の経験を活かしてご自身が更に発展させていきたいと考えているキャリア形成に向けて、求人を吟味できるよい機会と考えられます。弊社にご相談にお見えになる方々も、「他のアセットクラスにも経験の範囲を広げたい」、「自分の運用方針とフィットする会社で思い切り貢献したい」、「自身の専門性をより広い業務に携わることで深めたい」など、様々な思いを抱いて求人を比較検討していらっしゃいます。

 私どもは求職者の皆様方の思いを実現するお手伝いをさせて頂くため、世界の情勢が転職市場にどんな影響を与えるのか、最新の動向をお伝えできるよう、今後も引き続き注視して参りたいと思います。最新の転職市場にご興味をお持ちの方は、是非、お声がけください。

 コンサルタント 谷地田まな海

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