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2016年の金融人材マーケットを振り返って/弊社代表 阪部哲也

結果を伴う高い専門性が求められる金融スペシャリストの人材市場は、その確かなスキルを持つ人材に関していえば、時代を問わず常に引く手数多である。人の入れ替わりも激しく、労働環境としては、時に解雇も伴う厳しい世界だが、逆にチャンスも多いフィールドだ。そんな金融人材市場も時代の波を受け、今年もまた、これまでとは違う変化が訪れた。その要因として、ここでは「FINTECH」と「マイナス金利」、そして「地方銀行の再編」の3点に着目して振り返ってみたい。

まずFINTECH。テクノロジーが事務的職務をIT化するのは時代の必然だが、金融機関の重要な機能である決済や運用も一部AIに置き換えられようとしている。他方、世界のITベンチャーが、審査や融資、決済などこれまで銀行が担ってきた領域に参入。迎え撃つ銀行は生き残りをかけて、自ら新たなビジネスモデルを生み出すことに必死だ。みずほ銀行がソフトバンクと共同で立ち上げたローンの新会社は記憶に新しい。FINTECHビジネスの成功には関連する最先端の知見が欠かせないが、そういう人は「銀行にいない(メガバンク人事部)」。そのため、2016年は相当数の人材がネット関連企業やITコンサル、ゲーム会社などから銀行へ「大移動」した。2017年は更に増えるだろう。全く異なる文化がどう融合して何を生み出していくのか、楽しみだ。

次にマイナス金利。これにより銀行は融資業務で利益を生み出すことが難しくなっている。一方、低金利は投資家にはチャンスだ。結果M&Aやプロジェクトファイナンスなど投資銀行業務が急拡大し、関連する人材ニーズも高まりを見せる。運用面では低金利下で勝つべくデリバティブ商品の運用ニーズなども拡大し、それに伴ってリスク管理や審査のスペシャリストの採用意欲も益々高い。

最後に地方銀行の再編。2016年は福岡FGと十八銀行、横浜銀行と東日本銀行、常陽銀行と足利HDなど、経営統合が続いた。そして最近では、各社統合後の具体的な経営戦略を立案、実行するフェーズへと移りつつあり、IT人材や経営企画人材をメガバンク出身者や戦略コンサルティング経験者に求める動きが目立つ。これまで中途採用には比較的消極的な地方銀行が多い印象があったが、生き残りをかけて変革へのチャレンジが続く。実際当社も、地方銀行から今年ほど沢山のご相談を頂いたことは、過去に無い。

 みずほFGの佐藤社長は「先進技術にあわせ企業文化、システムを変革する」と宣言された。特に異業界に求めざるを得ないIT人材については、保守的な文化の変革はもちろん、例えば転勤・異動なし、年功的要素を排した報酬など、多様な人材を受け入れられる人事制度をいち早く取り入れた企業ほど採用に成功している。また、中途採用は若手に限定してきた企業も、一部では経験豊富な40代、50代を、総合職の枠組みを超えた特別な処遇や制度で積極的に迎え始めていて、こちらも成功している。

柔軟性が採用競争力を決める、2017年の金融人材市場はそんな一年になりそうだ。

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