KANAE ASSOCIATES

TEL 03-3431-7700

最新情報News

コロナ禍下でも加速する、M&A求人の動向

 M&Aアドバイザーの採用ニーズが高まっています。日本経済新聞は先日、M&A仲介の株式会社ストライクが2年後を目途に従業員を現状の約1.5倍に増員すると報じました。他にも多くの大手M&A仲介会社が大幅な増員を計画し、未経験者にも門戸を開いている企業も多数あります。

 中小企業を対象にした事業承継型のM&Aに注目が集まっていることは当社ではすでに2年前に本欄(VOICE)で発信し、以来、ウオッチし続けて参りました。今回は従来の事業承継型M&Aだけではなく、シリアルアントレプレナーの台頭などにより、様変わりしつつある環境の変化と、コロナ禍の影響によって加速するM&Aの潮流にともなう最新の求人動向について述べていきます。

 そもそもM&Aが今日の様に活性化した背景には少子高齢化による後継者不足による廃業予備軍企業の存在が挙げられていました。その数、127万社。これが廃業となれば650万人の雇用損失が予測され、GDP22兆円の喪失が算出されています。とりわけ70歳を超える中小企業経営者は2025年までには約245万人にのぼるといわれており、事業存続の手段としてM&Aの必要性が近年高まっていました。ところが、後継者不在の中小企業の多くはM&Aに関する知見を有しておらず、第三者への引き継ぎを躊躇する向きが強く、M&Aそのものが事業存続のための選択肢になりにくいという現実が徐々に浮き彫りになっていました。

 こうした現状を踏まえ、経済産業省は2020年3月31日、中小企業におけるM&Aのさらなる促進のため、2015年3月に策定した「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂し「中小M&Aガイドライン」を提唱。仲介業者や金融機関へM&A支援を広く呼びかけ始めました。ガイドラインには市場におけるM&Aプラットフォームの存在感が増していること、譲渡売却を検討している企業が買収(譲り受け)を検討している企業をインターネット上で探すM&Aプラットフォームの存在感が市場で高まっていることが記載され、金融機関や仲介業者、プラットフォーマーに対し、セカンドオピニオンを求めることを許容するなど、より具体的な支援内容を提示しています。

 奇しくもその直後に新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令されたため、一時は採用を控える動きもありました。その一方で優秀な人材を集める機会と捉え、採用をむしろ強化した企業も多数ありました。その背景にはますます高まる市場ニーズがあります。大手M&Aプラットフォームが実施した「コロナ禍の影響下におけるM&Aに関するアンケート」調査によると「今後M&A市場が活性化する」と回答した企業、アドバイザーは9割以上。さらに新型コロナ発生後の現在、会社や事業の買収もしくは売却を実施・検討した経営者は約6割に上ることが明らかになっています。
売却理由として、経営不振による撤退という回答が多く見受けられましたが、買収理由としては「市場への変化対応」や「自社のウィークポイント強化」「短期間でのEXIT目的」「統合によるシェア拡大」「会社を次のステージに引き上げたい」など、事業の多角化戦略を計る攻めの理由や、「コロナ禍をきっかけに、都心から離れた地方にある営業拠点の増設」などトレンドが反映されていました。
また起業して事業を一定規模に成長させた後、会社を売却し再び新会社を興すことに情熱を燃やすシリアルアントレプレナー(連続起業家)の台頭により、IPOよりもM&Aでシリアルを標榜する人材の裾野が広がっていることも見逃せません。スタートアップのM&Aを増やし、成長企業の育成や新たな起業の呼び水とする。こうした新たな潮流も踏まえ、なおかつ買い手側、売り手側の双方にとってシナジー効果をもたらすことのできる仲介者のニーズは今後ますます高まることでしょう。

 弊社KANAEアソシエイツには現在、大手仲介会社をはじめ、ブティック系仲介会社など多岐にわたる企業群からM&Aアドバイザー採用のご依頼が寄せられています。銀行・証券出身者はもとより、未経験者の積極的採用を行っている企業も少なくありません。「経験はないが、M&Aには興味がある」という方にとって、これは2025年問題を控えた今、早いうちからM&Aの現場に身を置き、専門的な知見を高めるまたとないチャンスといえます。

 この領域の採用現場に立ち会ってきて実感するのは一口にM&Aアドバイザーと言ってもM&A仲介会社の風土文化によって重要視される採用基準や採用したいと思わせる人材の特徴が大きく異なることです。そのマッチングにおいて、弊社はお役に立つことが出来ると自負しております。

 M&Aアドバイザーとして採用される方に共通していることは、一時代を築いたオーナー社長や役員に、「君に任せよう」と言わせる魅力をお持ちだということです。瞬時に懐に飛び込める、いい意味での人たらし力と言い換えてもいいでしょう。最近では当社からご紹介した、大手メーカー出身で中小企業のオーナー相手に機器販売をしていた敏腕営業職の方へ複数企業からのオファーが集まるケースがありました。このような、これまでには見られなかった人材争奪戦も見られます。ある大手M&A仲介会社の社長は採用時の重要ポイントは、M&Aの知識などではなく「情熱」「コミュニケーション力」「人間力」に尽きると断言するとおっしゃっていました。

 事業承継やアントレプレナーは日本経済の世代交代に直結する大仕事であり、今後M&A案件が増えていくことは間違いありません。「我こそは」という情熱と気概をお持ちの方はこの機会にぜひ、ご相談ください。

 専任コンサルタント 辻勇人

現状に満足しない、志あるプロフェッショナルのために。 Copyright © KANAE ASSOCIATES Co.,Ltd. All Rights Reserved.