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資産運用業界向けBPO事業はミドル・バックオフィスの新たな活躍の場

資産運用業界の現状と課題

 2020年10月28日、ウイリス・タワーズワトソンのインベストメント部門のシンキング・アヘッド・インスティテュートは世界の運用資産残高が初めて100兆ドルを超えたことを報じました。総額104.4兆ドル。昨年の91.5兆ドルから14.8%の増加です。同社が発表した「世界の運用資産規模トップ500社の運用会社ランキング」で創業者のロジャー・アーウィ氏は資産運用業界の変化のスピードが合併・連衡により加速していることを述べ、運用、オペレーション、意思決定を含め、プロセスの大部分の変革の必要性を説いていました。実際、同レポートの調査では運用会社の約84%がデジタルテクノロジーやビックデータに携わるリソースの充実やサイバーセキュリティに関わるリソース強化していることや約65%の運用会社において当年の提供運用商品が増加していることなどが明らかになっています。
 
 この調査結果の中で、今回とりわけ注目したいのが「運用会社の運用報酬水準は、運用会社の34%で低下する一方、運用会社の7%では上昇」いること。さらに「運用会社の51%は、規制監督の水準が上昇していると回答」していることです。

投資家優位の市場で運用会社のコスト削減は不可避

 投資家の運用に対する考え方が多様化し、それに伴い運用商品が多様化複雑化する一方で、規制監督の水準が厳しくなる流れは世界共通のようです。個人投資家の為の「公正な取引」という考えに基づき、透明性の確保と価値と費用の適正性の向上を図るため、英国でRDRが2012年以導入され、以後、インド、オーストラリアでも既に策定されました。日本でも金融庁が2017年に「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表し、それ以降、フィデューシャリー・デューティーの徹底を図るべく運用報酬やコストの透明性を高める動きが求められていることは周知のとおりです。

 MiFID2は基本的にはEU内での金融規制であり、日本の機関投資家や証券会社には直接関与しないものの、日本株の売買代金の60〜70%が外国人投資家の売買であることはやはり無視できません。欧州機関投資家が大きな存在といえる日本の大手証券会社ではMiFID2への対応を進めざるを得ないのが現状です。それに伴い、欧州で株式や債券を扱う大手資産運用会社を筆頭に、日本の金融機関も対応を求められる日は近いでしょう。
 
 さらに特筆すべきは投資家優位の市場です。物言う投資家としてサスティナブル投資や上位役職のダイバーシティへの観点に目を光らせる一方で、特定の運用スタイルに特化したファンドよりも自らのニーズに沿ったアウトカムを望む投資家が少なくありません。とりわけ現代の若い世代は自分のライフスタイルや価値観、目標に合わせて、資産運用の方法を選択することを望むため、テクノロジーを活用したウェルスマネージャーが従来の伝統的な販売業者よりも好まれる傾向にあります。多様化する顧客ニーズに寄り添うべくDX化への投資が集中する一方で、運用会社では手数料の明確化やコスト削減の達成が求められているのです。

資産運用業界向けBPO事業会社という選択肢

 パワーバランスが投資家にシフトし、コスト削減の圧力が高まる中、ミドル・バックオフィスを自動化する資産運用会社も少なくありません。あるいはKYC業務、約定処理、リスク管理、税務報告など、特定の業務を外部委託する運用会社も増えています。こうした背景から現在、資産運用会社向けにBPO事業を展開している企業から金融機関におけるミドル・バックの経験者への求人ニーズが増えております。
 
 以前より、「フロントと比べてなかなか評価されない」「働き方を見直したい」「職場改善をしたい」という悩みを抱えるミドル・バックの方々は少なくありませんでしたが、最近は資産運用業界全体が「コスト削減」の流れを受け、「リストラの対象になるかもしれない」という危機感から弊社へ転職相談におみえになる方が徐々に増えています。とはいえ、ピンチはチャンスといいます。既に弊社からの紹介でBPO事業会社への転身を果たした方の中には役職定年を控えた方や既に定年退職を迎えられた方もおいでになり、「新たな活躍の場としてこれ以上ない転職先だった」と嬉しい声を寄せてくださっています。

 現在、弊社に寄せられている求人の中には日本進出を控えた海外の投資信託顧問企業のための設立支援責任者というポジションもあります。多彩な技能を持った人材を発掘、獲得するため、組織もまた、従来とは異なる雇用モデルの模索をしている段階といえます。我こそは、と思う方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。

 専任コンサルタント 佐藤史織

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