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相続遺言ビジネスの拡大に見る新たな採用ニーズ

 現在、相続市場は50兆円マーケットと言われています。
 この背景には2015年相続税の改正に伴い課税対象者の裾野が広がったことも影響していますが、やはり今後の死亡者数の増加拡大という直視すべき事実があります。国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によれば、死亡者数は2039年までに現在よりも約3割増加することが予測されています。
 来る長寿社会では100年の人生設計が必要だと説かれ、とりわけアクティブシニアの資産活用が話題にのぼることが多くなりましたが、その反面、相続の現場では被相続人の高齢化をめぐるトラブルがますます顕著になってきています。
 たとえば、後見人問題です。成年後見制度がスタートした当初は本人の遺族が後見人になるケースが主でしたが、近親者である後見人による財産の使い込みや不正行為が散見されるようになりました。内閣府の成年後見制度利用促進委員会の調べでは平成23~26年の4年間で2400件以上の被害が判明し、その被害総額は183億円を超えました。単純計算しても毎日1200万円以上の被害が発生していることになります。
 また親が認知症を患い、銀行窓口で預金を引きだせないというトラブルも多発しています。認知症患者の保有資産は実に100兆を超えるとも言われており、「さまよう相続資産」は社会問題として注目されています。

 このような問題を回避するために脚光を浴びているのが後見制度支援信託をはじめとした信託商品というわけです。

 大手金融機関では円滑な相続や遺産分割につながる遺言信託のノウハウを活かし、信託商品のラインナップ強化に努める一方で、公益団体や不動産会社などの異業界との提携を進めたり、相続人に有価証券の承継に関するアドバイスを実施するなど、幅広い顧客の要望や「世代を超えた取引」につなげるため、今後さらに増加する相続需要を見越し、さまざまな取り組みが行われています。
 一方、地方金融機関では、預貯金が相続時に大手金融機関に流出することを防ぐため、信託業務の兼営認可を取得し、信託・相続業務の取り扱いを新たに開始したり、資産継承の計画支援など新たなサービスを始動するなど、解決策を講じていることも見逃せません。

 こうした時代の趨勢から、転職市場ではかつてない異変が起きています。
 大手信託銀行やメガバンクがいわゆる「士業」経験者を採用の主力ターゲットに定めはじめたのです。すなわち、弁護士、パラリーガル、税理士、司法書士経験者へのニーズが現在、非常に高まっているのです。
 前述した「さまよう相続資産」をめぐる現場では、家長制度の崩壊もあり、相続トラブルが昔よりも確実に増えています。問題解決には、より専門的な知識をもったアドバイザリーを迎え入れる必要があります。
 また執行に伴う相続業務対応のみならず、生前贈与や遺言相談サービスなど新たな信託商品の開発においても士業経験者が蓄積してきたノウハウの活用に大きな期待が寄せられていることは想像に難くないでしょう。

 特筆すべきは、かつては金融機関での経験がないと、転職が難しかった金融業界がここにきて異業界への門戸を開きはじめているという点です。

 先日、ある弁護士事務所に勤務されているキャンディデイトに求人案件をご案内したところ、大手金融機関への転職が選択肢として加味されたことに驚かれ、さらに「相続遺言ビジネス」という領域に特化した職務内容に関して「こういう切り口があったのですね」と大変興味をもたれたご様子でした。

 実は、この一言は私共にとっても新鮮な気づきをもたらしました。

 これからの相続需要を見据えますと、相続遺言ビジネスは各金融機関にとって最重要注力ビジネスと言っても過言ではありません。これまでは事務所を移転することが主であった士業の転職に、大手金融機関という新たな一択を加えることは「士族」の皆様におかれましても、新たな可能性を拓くチャンスといえるのではないでしょうか。

 私共KANAEアソシエイツは、相続遺言ビジネスの人材市場について、最新の情報をご提供致します。関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、お問い合わせくださいませ。

                                   担当コンサルタント 高田純

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