KANAE ASSOCIATES

TEL 03-3431-7700

最新情報News

経営戦略を支える人事制度企画・人材開発の採用ニーズ

 2026年の金融転職市場において、最も刷新が求められているのは人事制度のあり方という声が採用現場でよく聞かれるようになりました。金利上昇局面における資産運用ビジネスへの需要の高まりやグローバル投資企業の日本再評価から高度な専門性を有した人材の獲得競争が激化していることは既に「高度金融人材『採用難』に見る、人材獲得競争の本質的変化」でも考察致しましたが、外部から優秀な人材を確保するだけでなく、社内に焦点を向け、人材開発や人材育成に注力すべく、人事制度の見直しや刷新が急がれています。
 
 最近、大手金融機関でも人事制度改革が相次いでいることは印象的です。
 そのひとつに、三菱UFJアセットマネジメントがアクティブファンドマネジャー向けの新人事制度を導入した事例があります。執行役員 人事総務部長の藤原令子氏は「『運用力強化』が経営戦略の最重要事項である現在、人材を制度面からサポートし、運用パフォーマンスと報酬の連動性を拡大することでアクティブファンドマネジャーのインセンティブを高め、さらなる運用パフォーマンスの向上を企図している」と述べています。そのうえで、評価体制の透明化やチーム全体で成果を出すことを重視した新しい評価制度の導入を、アクティブファンドマネジャーの「自律的成長」につなげ、多様なキャリアパスを実現するための環境整備のひとつとして位置づけておられます。
 また、三井住友フィナンシャルグループでは、年功序列から脱却し役割・貢献を重視する新人事制度への見直しを公表しています。執行役専務 グループCHROの小林喬氏は「人財ポリシーの好循環の創出」を掲げ、専門人材の育成やプロフェッショナルとしてのキャリア形成を重視し、「人財ポリシースコア」という独自の指標を導入しています。こうした取り組みが経営の格段の強化を図り、社会的価値の創造と経済的価値の追求を実現する「好循環の創出」を表明されていることからも、人事制度改定が経営戦略の重要な基盤であることが読み取れます。

 「人材への投資」は人材開発の現場で、これまでも掲げられてきたスローガンではありますが、金融業界全体が資産運用立国を推進する潮流の中で、中長期の成長戦略の要として、より一層重要なテーマになってきていると感じます。単に働きやすさを改善するというだけではなく、専門人材が長く活躍し、成長し続けられる環境を整備することで、企業の持続的な成長につなげようという認識が高まり、 その結果、人事制度企画や人材開発などを担う人材への採用強化が顕著になってきた印象です。
 本稿では最近弊社が支援した事例をご紹介しながら、現在人事部門が「キャリア採用」後の人材育成や、優秀な人材の流出を回避するための人事制度企画において抱えている課題感を考察してまいりたいと思います。

 人材開発の採用ニーズが高まっている背景として、企業の採用ご担当者様からよく伺う課題点を整理してみますと、
・キャリア採用ができても育成が追い付かない
・人事制度が現場まで浸透しない
・評価制度を見直す必要性を感じている
・経営戦略と人事戦略を連動させたい
などの課題が挙げられます。

 先述した、三菱UFJアセットマネジメントがアクティブファンドマネジャー向けに導入した新人事制度は、単に運用改善を視野に入れた運用パフォーマンスの追求を目的とした就業環境の整備という制度設計にとどまらない、顧客と社会全体に対する有機的な好循環を創造するための中長期的な経営戦略でした。現在、採用ニーズが高まっている人事企画や人材開発のポジションを鑑みましても、未来のビジョンを俯瞰し、中長期的に経営戦略を刷新する。その計画の実現のための実行要員が求められているという、共通のテーマがあります。言い換えれば、単に制度をつくる人ではなく、制度を実際に機能させられる人が求められていることにほかなりません。
 これまでの金融業界では、長いジョブローテーションで選別された優秀な人材が人事部門へ異動することが定例でしたが、「人材への投資」の重要性が一層強化されることで、業種業態を超えた汎用的なスキルをお持ちの方であれば異業界からのキャリア採用も稀なケースではなくなりつつあります。
 
 最近弊社がご支援した方も、異業種の大手企業から生保会社の人材開発部門へ転身されたケースでした。人材開発方針の上流工程から研修プログラムの運営まで一貫して人材育成に携わってこられたポータブルスキルに加え、大規模な組織においてご本人が経営層とのコミュニケーションを豊富に経験されてきたことも高い評価につながり、企業としての将来の成長戦略を担う中核ポジションの管理職として迎えられました。
 候補者様におかれましても、転職を決意した理由として「人材育成に力を入れていることが理解でき、経営層と議論しながら企業戦略と連動した人事施策を推進し、人事という立場から前向きに会社全体の変革に貢献できると感じた」「金融業界は人材への投資や人事制度改革が積極的に進められており、異業種で積み重ねた人材育成や組織開発の経験も活かせると確信が持てたため」という点を挙げておられました。

 金融機関全体において人材戦略を注力分野に据える、という潮流は引き続き堅調です。
 採用ニーズにもその傾向が表れており、中長期的な人材育成方針の策定、人事制度の全社浸透、経営層との連携、組織開発、社員の健康支援など、人材開発機能の強化に向けて求められる役割は広がっています。特に重視されているのは、制度や施策を企画するだけでなく、関係者を巻き込みながら現場への定着まで推進できる実行力です。こうした経験をお持ちであれば、金融業界未経験の方にも活躍の機会があります。人事として経営に近い立場で組織変革に携わり、これまでの経験をさらに広げたい方にとって、現在の金融業界は挑戦する意義のあるフィールドと言えるでしょう。ご自身の経験をどのように活かせるか、ぜひ一度ご相談ください。

 コンサルタント益田あずさ

現状に満足しない、志あるプロフェッショナルのために。 Copyright © KANAE ASSOCIATES Co.,Ltd. All Rights Reserved.